サガシモノ
観察
柱時計の音が鳴りやんで目を開けると、周囲はすでに明るくなっていた。


ハッとして顔をあげると、昨日見た男子生徒たち3人が現れている。


「……っ」


あたしは後ずさりをして幽霊たちから距離を置いた。


昨日は金縛りにあったように動くことすらできなかったけれど、今日は少し違う。


幽霊たちは柱時計の周りを行ったり来たりしながら何かを探し続けている。


「お前らは何を探してるんだ?」


そう言ったのは陽だった。


陽は青ざめた表情をしているが、しっかりとした口調だ。


なんとしても探し物を見つけ出して栞を助け出したいのだ。


あたしはそんな陽を見て足にグッと力を込めた。


怖がってばかりいちゃダメだ。


1人ずつ消えてしまう前に、栞を返してもらわなきゃ。


恐怖で鼓動は早くなるが、どうにか幽霊たちを見る事ができた。


幽霊たちは陽の声に反応しない。


「こっちから話かけることはできないのか……」


健がそう呟いた。


幽霊たちとコンタクトは取れない。


幽霊たちが何を探しているのか直接聞く事はできないということか。


「とにかく、こいつらの行動をよく見ておこう」


海がそう言った。


探し物の正体がなんなのか、観察することでしか知ることができないようだ。
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