サガシモノ
「近藤先輩は、どこか肝試しに行くんですか?」


「ん? あぁ、もちろん」


あたしの質問に近藤先輩は満面の笑顔で頷いた。


「地元にある地蔵坂って知ってる?」


「あ、あたし知ってます!」


栞がすぐにそう返事をした。


オカルト部に所属していなくてもきっとみんな知っているだろう。


とても有名な場所だった。


「毎年夏休みにはそこに行くことにしてるんだ」


「毎年行ってるんですか?」


渚が驚いたようにそう聞き返した。


「あぁ。毎年行って写真も撮って帰って来るんだけど、何も写ってないんだ。あそこは偽物っぽいけど、雰囲気は味わえるからなぁ」


近藤先輩はそう言い、ペラペラを雑誌をめくって眺めている。


「そうなんですか……」


あたしは残念に思ってそう呟いた。


地蔵が100体並んでいると言われる地蔵坂。


地蔵坂の周囲は森で囲まれていて、奥へ進むにつれてその道は細く、そして険しくなっていくらしい。


その坂を上っている最中に女のうめき声を聞いたとか、地蔵が動いたとか。


そんな噂をよく聞いていた。
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