サガシモノ
「あいつら俺たちと同じ学生だよな? だったら学生が忘れたり、無くしたりしそうなものを書いていくか」


健がそう言い、ペンとノートを自分の方へと引き寄せた。


「あたしたちが忘れるものっていえば、スマホ?」


渚がそう言いながら首を傾げた。


「それは今のあたしたちでしょ? 旧校舎を使っていた時代にスマホはないよ」


「じゃぁ……なんだっけ? ポケベルっていうやつ?」


瞬きを繰り返しながら渚が言った。


「ポケベルってなんだよ?」


海が聞き返す。


「はぁ、知らないの? 昔の人が使ってた通信機械だよ。公衆電話を使うんだってさ」


渚は海を見下したようにそう言った。


「だったら最初から公衆電話で連絡すればいいじゃねぇか、意味わかんねぇ」


そう言い、ズズズッとカフェオレを飲みほした。


「話を戻すけど」


咳払いをして陽が言った。
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