サガシモノ
「他に俺たちが忘れそうなものはないか?」


「傘とか、手帳とか」


あたしは指折り数えながらそう言った。


「そうだな。そういうものなら昔も今も変わらない」


健はそう言い、ノートに書いていく。


「それなら勉強道具とか、課題もそうだな」


そう言ったの海だった。


「課題忘れは海だけじゃん」


渚がそう言い、海がふくれっ面をする。


「2人とも、話が進まないんだけど」


あたしが注意すると、渚と海はすぐにおとなしくなった。


「ペンとか消しゴムはすぐ無くなるよなぁ」


健はそう呟いた。


「そうだな。だけどそういうものは除外していいと思う。もっと大切で、死んでからもずっと探し続けるようなもの」


陽に言われて、みんな黙り込んでしまった。
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