サガシモノ
あたしにも宝物と呼べるものはあるけれど、それが昔の男子高校生に当てはまるとは思えない。


「わからないなぁ」


しばらく考えたのち、渚がそう言って唸り声を上げた。


「なにせ俺たちとは時代が違うからなぁ」


海がそう言う。


「そうだよね。せめて同じ時代の高校生の事なら、少しはわかるのに……」


彼らが何年前に椿山高校に通っていた生徒なのかもわからないのだ。


「一旦家に戻って、親たちに話を聞いてみてもいいかもしれないな」


健がそう言い、ペンとノートを陽に返した。


「昔の高校生が何を持っていたのかを?」


あたしはそう訊ねた。


健は大きく頷く。


「あぁ。俺たちだけで考えるのは限度がある」


それがいいかもしれない。


それからあたしたちは昼食を終わらせて、それぞれ家に戻って行ったのだった。
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