サガシモノ
人影
そして、いつもの時間がやってきた。


1時を回ったあたしから気持ちが落ち着かなくなってきて、いてもたってもいられない。


少し早いけれど、もう行ってみようか。


今日は渚もいないから、自転車で行こう。


そう思い、鍵を握りしめて部屋を出た。


足音を立てないように気を付けて階段を下りて行き、家を出た。


昼間の熱さが残っている夜の街を颯爽と自転車で駆け抜けていく。


恐怖と行きたいという気持ちが同時に襲ってくるのがわかる。


生暖かな風を感じながら走って行くと、山の風が頬を撫でた。


住宅街から離れただけで随分と気温が違う。


それともこの冷気も、彼らがいるからだろうか。


旧校舎が見えて来るとはやるきもちが抑えきれなくなり、あたしは立ちこぎで旧校舎へと向かっていた。
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