サガシモノ
「2人して何見てたの?」


渚がそう聞きながらあたしの隣に立った。


「あれ……」


あたしは小さな声でそう言って、2階の窓を指さした。


真っ黒な人影はまだ窓の向こう側で動いている。


「なにあれ……」


渚が一歩後ずさりをしてそう呟いた。


「人?」


海が眉間にシワを寄せてそう言った。


「人……だと思う、たぶん」


陽がそう返事をした。


「確認してみるか」


そう言ったのは健だった。


あたしと渚は同時に「え!?」と声を上げて健を見た。


「なんだよ、あそこに誰かいるってことだろ?」


健は首を傾げてそう聞いて来た。


それはそうなのだけれど、直接行って確認する勇気なんてなかった。
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