サガシモノ
どこかに隠し扉でもあるのかもしれないと思って周囲を探してみたけれど、木製の壁が広がるはかりだった。


押しても引いてもびくともしない。


「場所は、ここであってるよな?」


陽が周囲をみまわしてそう言った。


「あってるよ」


あたしは頷く。


確かに外から見た教室はここだった。


この中で人影が動いていた。


思い出しただけでも鳥肌が立った。


「ねぇ、もう行こうよ」


渚が海の手を掴んでそう言った。


「ん、あぁ……」


海は陽を見る。


「何もないなら調べようもないよな」


陽はそう言い、小さく頷いて廊下を引き返し始めたのだった。
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