サガシモノ
イジメ
一階の広間へと戻ってきた時、丁度時計が2時を刻み始めた。


旧校舎の寒気同様に馴れない音。


耳を塞いでどうにかやり過ごしてた後、あたしたちは周囲を見回した。


いつもならここで周囲が明るくなるのに、今日はなんの変化も現れない。


「今日はあいつら出て来ないのか?」


健が周囲を見回してそう言った。


「うそでしょ? 自分たちだけで探せってこと?」


あたしはそう言った。


なにを探せばいいのか全く分かっていない状態で探すなんて、絶対に無理だ。


そう思った時だった、不意に1年3組から光が漏れてきて、あたしたちは一瞬息を飲んだ。


「記憶が再生されはじめた!」


陽がそう言い、1年3組へと走る。


あたしたちもその後を追いかけた。


1年3組の教室は明るく照らしだされていて、教室は生徒たちで埋まっていた。


今は国語の授業を受けている最中なのか、教卓には男性教師が立ち、黒板にも文字がずらりと書かれていた。


「授業を受けてる……」


健が驚いたようにそう呟いた。


「ここは学校なんだから普通でしょ」


そう言うと、「そうなんだけどさ、今までそんな雰囲気じゃなかったから驚いたんだろ」と、笑った。


確かに、健の言う通り旧校舎で授業を受けているという絵は、今のあたしたちからかけ離れているかもしれない。
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