サガシモノ
すると、いつもの3人が大人しい男子生徒の周りへと集まって行くのが見えた。


男子生徒は席に座ったままで顔を上げようともしない。


「お前、声が小さすぎて全然聞こえなかったぞ!」


「先生だって困ってたどうが、もっと声出せよ」


「マジで、声帯なくしたんじゃねぇの?」


男子生徒をからかっては笑い声を上げている。


周囲の生徒たちはそれを見て笑っていたり、興味がなさそうな顔をしている。


「いつの時代にもイジメはあるんだな」


陽がため息交じりにそう呟いた。


イジメまで行っていないようにも見えるけれど、それは当人の心の問題だからあたしたちにはかる事はできなかった。


「ハッキリしねぇからイジメられるんだ」


海が吐き捨てるようにそう言った。


どちらかと言えばみんなから恐れられるような海には、この状況が理解できないのだろう。


しばらく休憩時間の風景が流れていたかと思うと、不意に明かりが消えた。


映像はこれで終わりか……。


「今回もヒントらしきものは何もなかったね」


あたしはそう呟いてライトを付けた。
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