サガシモノ
「は? なんでそんな事言い切れるんだよ?」


陽はムッとしたようにあたしを睨んだ。


「ごめん陽、悪気はないんだけど……この生徒手帳に写っているのはあたしのお母さんだから」


あたしはそう言い手帳を自分の顔の横にかざした。


「まじかよ」


海があたしと生徒手帳のお母さんとを交互に見つめる。


「うわ、ほんとだ! 咲紀そっくり!!」


渚が興奮気味にそう言った。


「お母さん、生徒手帳をここに忘れたままだったんだ」


あたしはそう呟いて笑った。


「咲紀、念のために聞いておくけど……」


陽がジッとあたしの顔を見て真剣な口調でそう言った。


「な、なに?」


「そのお母さんは亡くなってないよな?」


「健在です!!」


あたしは陽の質問に即答したのだった。
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