線香花火



「嘘…ほんと?ほんとに?エレナ?」




「…ほんとだってば」




こんな時まで、甘いセリフ言えないんだな私。




ま、それでもいっか。


そんな私のことを、好きって言ってくれる
玲がいるんだから。




「エレナ」


と呼ばれて、玲の方を向くと、




ぎゅっ




腕の中に、閉じ込められた。




「玲!」


「俺と、付き合う?」


「…ううん」


「もー素直になれよエレナ」


「付き合わないよ…結婚する」


「何、可愛いこと言ってるんすか。
まずは付き合うの!分かった?」


「分かんない」


「もーエレナ、顔上げて」


玲が怒ったような声がしたので、
ちょっといじめすぎたかな?と思って
顔を上げると ーー…




「エレナのばーか」




そう言って、唇と唇が重なった。




「んっ…れ…っいっ…んんっ」




何度も何度も角度を変えて降ってくる
甘いキスに、頭がフラフラする。


もう無理だよ、
そう思って玲の背中に手を回したのに、
玲はやめないで私の後頭部を撫でるだけ。



ダメだ、私、今ドラマの中で見るような
キスしちゃってるんだ ーー…!!




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