俺が彼女に会えない理由
たいしたことは何ひとつできないし、自分にできることはほんの些細なことだとわかってはいたけれど、小学校を卒業するまで自分なりに風花に尽くした。

それに、平日も土日も、公園や風花の家で遊んだりした。

といって、俺と風花の間に恋愛が生まれることはなかった。

好きな人がいるとかいないとか、誰が好きとか、そういう話しはしなかった。

ただ、クラス内で俺が風花を好きという噂は根強かったから、風花もそう思っていたはずだ。

その噂を否定も肯定もしなかったのは、どっちに思われても良かったからだ。

今なら、あのときの自分は、間違いなく風花が好きだったとわかるのだが、当時の自分は、「初恋」をしていることに気づいていなかった。

恋していることに気づかないからこそ、初恋というのかもしれない。

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