俺が彼女に会えない理由
二人とも恋愛に興味がなかったせいもあるし、風花のお母さんが俺のことを完全に安心しきって「良いお友達」と見ていることもわかっていた。

小学生ながらにその責任感を感じて、風花のお母さんの期待に反することは絶対にしないという思いが強かったせいもある。

そういうわけで、小学生の頃は「恋愛」ではなく、「双子」とか「家族」とかそういう絆で結ばれていた。

俺が一度も誕生日会をしてもらったことがないと知ると、風花の両親がケーキや手巻き寿司やプレゼントを用意してくれて祝ってくれた。

おかげで、小学校五年生からは、風花の家で温かい笑顔とごちそうとプレゼントに囲まれながら、幸せな誕生日を過ごせるようになった。

家庭的な幸福というか、優しさというものもたくさん与えてもらった。

「うちには、息子がいないから、冬弥くんが我が家の息子みたいだ」

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