俺が彼女に会えない理由
夏には、近所の神社のお祭りにも風花と行った。

浴衣姿の風花は日頃と違って少し大人っぽく見えた。

けれど、それは外見だけのことで、浴衣を着ても、やっぱり風花は風花だった。

「わあ!綿あめ食べたい!」

綿あめの屋台に飛びついて、即決して買ったわりには、半分ほど残したところで「なんか、甘すぎてもう食べられない」と俺に差し出してきた。

「しょうがないなぁ」と言いながら、食べ残しを食べてやった。

翌年も、綿あめの屋台を見つけるなり駆け寄り買ったくせに、結局、半分くらい食べたところで、「甘くて、もう無理」と俺に渡してきた。

「だったら、買うなよ」と言った俺の言葉は耳に届いていない様子で、風花はすでに焼きとうもろこしの屋台に駆け出していた。

しばらくすると、「下駄の紐が親指にこすれて痛い」と言い出した。

見てみると、豆がつぶれていて見るからに痛そうだった。

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