俺が彼女に会えない理由
肩をポンと叩かれ、振り向いて風花の顔が目に入ったときは言葉がでなかった。
突然、思いもかけず風花に声をかけられたのは、桜が散り始めた頃だった。

「なに、そんな顔して。いきなり肩たたいたから、ビックリした?」

とりあえず頷いて、そういうことにしておこうと思った。

そうして、何年かぶりに、二人で肩を並べて歩くことになった。

けれど、うまい言葉がなかなか出てこなかった。
社交性のない堅物な性分を責めた。

「冬弥くん、部活、入らないの?」

うまいこと風花が会話のきっかけを作ってくれて助かった。

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