俺が彼女に会えない理由
「冬弥くん、ますます背が伸びたね。私、冬弥くんの胸までしかまだ伸びてない」

歩きながら、風花が自分の頭のてっぺんから俺の胸に手を水平に移動させ、自分の背を測るような仕草をした。
まだ身長にコンプレックスを感じているのだろうかと思った。

「そのままで十分だよ」と、内心思ったことをそのまま言った。

すると、「変わってないね」とクスっと風花が笑った。そして、少し間があってから、こう言うのが聞こえた。

「なんで、そんなに優しいの?」

その瞬間、記憶は小学校時代に飛んだ。

一気に風花と過ごした思い出がよみがえった。
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