俺が彼女に会えない理由
「なんかぁ、恥ずかしいね。今から、ケイドロしよ!私が、泥棒役ね」

「え?嘘だろ?!」と言う暇もなく、真っ赤になった頬を隠すように手でおさえながら、風花は飛び出すように瞬く間に駆け出してしまった。

なんでこういう展開になるのかと一瞬たじろいだが、「ちょ、ちょっと待て」と風花のあとを追った。

こんなうれしいことがあるだろうか。自分の身にこんなことが起きるなんて、信じられなかった。

かつて、ランドセルを時には背負ったまま、時には公園のベンチに置いて、ケイドロを夢中になってした二人が舞い戻った。

今度は、高校の制服を来た二人。
風花の制服のリボンとプリーツスカートが走るたびに揺れた。

小学校の頃と同じように、風花の背中を一心に追いかけた。

ずっと風花が欲しかった。

なのになぜ、中学の三年間、何も行動しなかったのかと猛省した。

これからは、毎日がこんなふうに続いていく。

今日も明日もその先も、ずっと風花が隣にいて、楽しい日々を過ごしていく。

そんな未来が目の前に広がった。 



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