俺が彼女に会えない理由
今は、どんな言葉を打っても、ふさわしくない気がした。

横浜でネイリストとして働いている香澄美は、月一のペースで飲みに誘ってくる。

毎回、夜遅くまで銀座あたりで一緒に飲んで俺の部屋で一泊して行くが、先週は飲んでいる最中に、「いい加減、私の気持ちに気づいてよ」と言い出した。

香澄美の気持ちは以前からなんとなくわかっていたけれど、気づかないふりを続けていた。気づきたくなかった。

だからその時も、「何が?」と淡々と返事をしたが、激怒させてしまったらしく、「もう帰る」といきなり帰って行った。

香澄美は気さくないいヤツだし、美人だし、場合によっては惚れてたかもしれない。

でも、15歳という短い生涯を終えた恋人を越えることはない。
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