俺が彼女に会えない理由
ある日、ある漫画本のことで倉本と盛り上がった。

単行本は６０巻まで刊行されていて、長期連載で昔から人気を集めている漫画だ。

小学校の頃、クラスメイトに借りて、ところどころ読んだことはあったが、全巻を読んだことはなかった。

という話しをすると、「家に全巻あるから、まとめて貸してやるよ」と倉本が言った。

「え？マジ？頼む」

「でも、６０巻を学校に持ってくるのはキツイから、今度、お前んちに持ってくよ」

「いいのか？すげえ重いだろ？」

「いいよ。あれは全巻まとめて一気に読みたくなるほど面白いから。俺はもう何回も読んだから、無期限で貸すよ」

「マジで感謝する」

「大したことじゃねぇよ」

というわけで、ある日の土曜日、倉本が来ることになり、成田駅まで倉本を迎えに行った。

そして、倉本を見た瞬間、こらえきれずに爆笑してしまった。
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