俺が彼女に会えない理由
5月半ばで涼しい気候だったのだが、押し車を押して歩いている間に結構汗ばんできた。
家に着いたときには、二人とも喉がからからになっていた。

母が注いでくれた麦茶を二人とも一気に飲み干した。

初めてクラスメイトが家に来るということで、母は昼メシを用意してくれた。

といっても、風花のお母さんのようにローストビーフとかちらし寿司とかラザニアとかそういうごちそうではなくて、いたって平凡な昼メシだ。

がっつり豚肉を入れた五目焼きそばと茶碗蒸しが食卓にあった。

たいした料理でもないのに、倉本は「うまい、うまい」と残さず食べてくれた。

食べ終わると、俺の部屋でカーペットにベタ座りし単行本を読みながら、お互いの感想を言い合った。

それだけでなく、学校、バイト、将来の話しなどに広がっていって、俺は行きたい大学を口にした。

それは、かなり難関とされる某国立大学だから無理だと言われるかと思ったが、「お前なら、行けるよ」と真面目に返されて面食らった。
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