俺が彼女に会えない理由
5月下旬。

俺の誕生日の日、数年ぶりに会った風花の両親は変わりなく、俺を気持ちよく家に迎え入れてくれた。

四人で会話を弾ませながら風花のお母さんが作った豪勢な料理をたいらげると、「ちょっと来て」と風花が俺を自分の部屋に招き入れた。

「はい、プレゼント」と渡された小包は綺麗に包装されていて開けるのがもったいないくらいだった。

中を開けると、腕時計が入っていた。

「いいのか?こんな高そうなやつもらって」

「もちろん!お母さんとね、冬弥くんに似合いそうな腕時計、デパートに探しに行ったの」

「一生、大事にする」

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