俺が彼女に会えない理由
「これ、手紙。これは、帰ってから読んで」

頬を赤らめて渡す仕草を見て、風花とこれから先もずっと一緒にいたいと思った。

「ありがとう。風花の誕生日には何が欲しい?」

「まだ早いよ!半年以上先だし」と風花は笑った。

その晩、家に帰って手紙を開くと、読んでいるこちらが恥ずかしくなってしまうくらいに風花の気持ちが綴られていた。

『ずっと一緒にいようね』

そう締めくくられていた手紙は、考えてみれば、長い付き合いの中で初めて風花が俺にくれたラブレターだった。

腕時計も手紙も風花の想いがたくさんつまっていて、一生の宝になった。
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