俺が彼女に会えない理由
成田さくらの山公園にもよく行ったものだ。
空港の近くにあって園内のどこからでも間近に飛行機を見られるのは、飛行機好きな俺たち二人にとっては最高にワクワクする場所だった。

空を飛び交う飛行機を見て、あの飛行機はどこの国へ行くのか、どんな人々を乗せているのか、風花と想像し合ったものだった。

風花は、いつか自分も大人になったら外国と関わるような仕事がしたいと言っていた。

この小さな街から出て、国内の他の街へ、あるいは海外のどこかの街へ行って、いくらでも可能性を試すことができただろうに、彼女はこの街を出ることなく16年という短い生涯をとじてしまった。

風花が生きていれば、どんな女性に成長しただろうか。
毎日、思い描いている。
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