俺が彼女に会えない理由
それからも毎日、家と仕事の往復ばかりの多忙な日々が続いた。

早く彼女の家に線香を供えに行こうと思いながらも、7月半ばになってしまった。

10代のときも時の流れを速く感じたが、20代になってからはその倍以上の速さだ。

あっという間に、1日が、1か月が、1年が過ぎていってしまう。

今月は休日出勤もあったせいで、なかなか行くことができないでいたが、ようやく都合がついて、しあさっての土曜日に伺いたいと両親に連絡すると喜んでくれた。

木曜日。午後10時。

今夜も残業で夜遅くの帰宅になった。
いつものように都営新宿線新宿駅から電車に乗り込み、胸ポケットからケータイを取り出し座席に座る。

と、その時、激震が全身に走った。

まさか。
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