俺が彼女に会えない理由
夜9時半過ぎ。

夜闇の色が濃さを増し、一人二人と公園から人がいなくなっていき、展望デッキには、俺たちの他にもうひとカップルがいるだけになった。

里花さんと孝仁さんがこちらに向かって歩いてくる姿が街灯に照らしだされた。

四人が揃うと、「風花は、今、ここにいます」と風花が立っている俺の傍らを指さして両親に知らせた。

風花が「そろそろね」と言った。

街灯が遠いところにあるだけで、細かい表情までは見えなかったが、微笑んでいるようにも悲しんでいるようにも見えた。

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