俺が彼女に会えない理由
「添嶋さんは、ご年齢はおいくつなんですか?」

「今年、28になります」

「あ、じゃあ、私と一緒ですね。お互い、気を遣わずに、やっていきましょうね。今日、東京にお帰りになるんですか?」

そう尋ねてきた桜橋利奈子に向かって冬弥は平静を装い、

「そのつもりですが」と答えた。

「もし、良かったらなんですけど、明日は土曜だし、このあとみんなで飲みに行こうって話してたんですけど、ご一緒にいかがですか?」

冬弥は迷わず、返事をした。

「ご一緒させていただきます」

「良かったぁ」

桜橋利奈子は微笑んだ。

その微笑みに釘付けになった。
会議中には見せなかったリラックスした柔和な微笑みだ。

冬弥は、何か壮大な大きな運命のようなものが動き出したのを感じた。



               <完>
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