俺が彼女に会えない理由
「冬弥くん、すっかり大人の男って感じ。ネクタイもよく似合ってる」

風花はこの異様で異常なシチュエーションを気にもせず、さも毎日会っている人間同士のように普通に会話を始める。

常識的に考えれば「摩訶不思議」ということになるけれど、風花が存在してくれるのなら、ユーレイだろうがなんだろうがかまわない。

それにしても、どういう仕組みで風花は現れたのだろう?

「なんで風花が見えるんだ?なんで、話せるんだ?」

「不思議だよね!でも、ユーレイだから瞬間移動とか壁を通り抜けるとか、そういうことができるかと思ってたら、できないの。さっき、神様に冬弥くんがいる地点に降ろしてもらったんだけど、そこから先は、人間と同じで、私も電車とかバスに乗って移動するしかないの。でも、ユーレイだからタダで乗れるけどね」

風花は両手で口を覆って、またクスクス笑った。
俺は、笑っていいのかいけないのかわからなかった。


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