俺が彼女に会えない理由
「死んだあと、すぐに成仏することもできたんだけど、やっぱり、未練があって、成仏しないでいたの。そしたら、会いたい人に会わせてあげるって、神様が声をかけてくれたんだ」

「か、神様?」

思わず、鼻で笑いそうになった。
寸前でこらえたつもりだったが、風花にはお見通しのようで、じろりと睨まれる。

神様という人物が実在するわけがない。少なくとも、俺はそう思っている。

死後の世界が想像つかず、風花の言っていることをどうにも信じることができない。

神様が会いたい人に会わせてくれるなんて、そんな映画や漫画みたいなことがあるわけない。

死んだら真っ暗、それでおしまい、死者に意識はないはずだ。

「その顔、完全に疑ってるでしょ?」

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