俺が彼女に会えない理由
翌朝、ケータイのアラームが耳元で鳴り、まどろみの中でカタンコトンという小さな物音が聞こえた。

案の定、寝不足でしばらく布団から起き上がることができない。
夜更かしして自業自得だけれど、今日の仕事がきつくなりそうだ。

このまま二度寝できたら、どれほど幸せだろう。
わりとしょっちゅう、このまま布団に入ったまま会社に行けたらいいなぁなんてことを想像したりもする。
眠い、とにかく眠い。

しばらくそうやって、布団の中でぐだぐだしていると、コーヒーやパンが焼けたような香ばしい香りがしてきた。
そそられる香りだ。

首だけ起こして物音がするほうに目をやると、風花がキッチンで何やら忙しそうにしている。
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