俺が彼女に会えない理由
なぜなら、風花が大きな声を出すことも、みんなに向かって何かを発言することも、めったになかったからだ。

恥ずかしがりやで存在感が薄かった。

時々、意地悪な連中が風花の存在を思い出したように風花に言葉をかけるときは、からかうときくらいのものだった。

その日の帰り道、先を一人で歩く風花を追いかけ、「戦国武将に似てるって、ほんと?」と自信無げに尋ねると、

「うん。戦国武将みたいで、強そう」

そんな思いもしない言葉が返ってきた。

すごくうれしくて、純粋にその言葉に感謝した。

「たとえば、誰に似てる?」

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