私に恋してくれますか？

「水城さんはなんで、私にトオルさんの事を教えてくれるんですか？
私とトオルさんとのお付き合いを反対しているんじゃないんですか？」と私が驚いた顔で聞くと、

「兄のスグルさんと結婚しても雛子さんは寂しい思いをしたかもしれない。
スグルさんは彼をずっと支えてくれた
幼馴染の女性とキチンと別れる事は出来ない。と最近わかったからです。
私はあのお見合いを邪魔してくれたトオルさんに少し感謝しているんです。
まあ、雛子さんの結婚相手としてはかなり問題がありますし…
もちろん反対をしているんですよ。」と水城さんはくすんと笑ってみせた。

「私はinfluenceの雑貨が好きです。
お手伝いが出来るのを楽しみにしています。」と隣に座った吉野さんも私に微笑みかける。

「雛子さん、私達は敵ではありません。
雛子さんによく考えていただきたいだけです。
これからの生活も、お付き合いをする相手も…。
社長はけっこう、トオルさんに嫉妬をしているだけかもしれません。
まあ、父親ってそういうものかもしれませんから…。
もちろん、足立先生にも雛子さんの気持ちを掴めるよう
頑張っていただきたいと思っていますよ。
足立先生との縁談は良いお話だと思っていますから…。
…『ここだけの話』は、これでおしまいです。
車を降りたら厳しくいきますよ、雛子さん。
あなた方には
乗り越えなければならない壁がいくつもあるんですから…。」
と真面目な顔をして前を向いた。

「はい。」と私は前を向いた。


私はひとりじゃない。

私の周りのオトナはみんな

私が大人の仲間入りできるよう応援してくれている。