私に恋してくれますか?
母は、足立先生とトオルくんを振り返り、

「雛子は日野家の人間です。
出来れば、自分のためだけに生活するのではなく、
社会に貢献できる人になって欲しい。
もちろん、交際も結婚も本人の自由になっているけれど…。
雛子には幸せになって欲しい。
トオルさんは家族の問題を解決して欲しいし、
足立先生には女性関係を整理出来るようにして欲しい。
…まあ、母親の気持ちとして、言っておこうかしら。」とニッコリ微笑んだ。


足立先生は
「もちろん、雛子さんと付き合う事になったら、他の女性とはつきあいませんよ。」と頭をかき、

トオルくんは、黙り込む。

「俺は、スグルがトオルを頼りにしていたのを知っている。
…今回の見合いは成立しないけど、
俺はこれからもスグルの友人だよ。トオルとも友人になれるとおもっている。」
と兄がトオルくんに静かにいって、

「そろそろ帰るよ。」と楓さんの肩を抱いた。

「雛子は今日は泊まって行きなさい。
明日、お父様に、家を出る挨拶をして、仕事を終えたら引っ越しなさい。」と母に言われ、私は頷く。

お酒を飲んだ足立先生とトオルくんはタクシーを呼ぶ事にした。

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