私に恋してくれますか?
第5章 ひとりの生活。

ひとりの夜。

久しぶりに実家の自分の部屋で眠る。
フカフカのベッドで
私は夢も見ないでゆっくり眠った。

翌朝、着替えていつものように食堂に降りると、
「あら、雛子泊まったの?」と姉が私の顔を見て笑う。

「おはようございます。お姉さま。」と言うと

「これから引っ越し?お兄様もあなたもいないと、朝ご飯の時、静かなのよねー。
お父様が、お母様に今日はなにをするのかとか聞いたりして、
面倒くさい夫になっているわ。」とまた、可笑しそうに笑った。


両親が、揃ったところに
静子さんが
「足立先生が車を取りにいらしてます。」と言って

母が「一緒に朝食を召し上がるかしら。お誘いして。」と静子さんに聞きに行かせた。

足立先生は
「おはようございます。お誘いありがとうございます。」と微笑んで、父の隣に用意された席に着いた。

「おはよう、雛子さん。はじめまして、皐月さん。」と爽やかに微笑み、父と今朝のニュースについて話し合っている。

「足立先生は便利ね。
久しぶりにお父様の元気な声をきいたわ。
お兄様が結婚してから、話し相手がいなくて
つまらなそうだったし…。
こっちもゆっくり食事が出来る。
トオルより、先生にしたら。」とお姉ちゃんは私の顔をこっそり覗いた。

…そんな事を言われても困る。
私が好きなのはトオルくんだ。


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