私に恋してくれますか?
「はい、座って。」と足立先生はダイニングテーブルに私達を座らせ、キッチンに回り込み、

「雛子ちゃん、コーヒーってどこ?」と聞いた。私は立ち上がり、扉を開けると、

「サイフォンじゃん。ルピナスのコーヒーもある?」
と足立先生が嬉しそうな顔をする。

「あ、でも、トオルくんはこれじゃない方がいいみたいなんで…」と言うと

「ピーコ、俺はルピナスのコーヒーが言うと嫌だなんて言ってないけど…。」
とトオルくんが怪訝な顔をする。

「え?だって、ルピナスのコーヒーを出したら、機嫌が悪そうだったから…」
と私がモゾモゾした声で言うと、

「なるほどねえ。
お互い聞きたい事も聞けずにここまで付き合って来てたんだ。
ルピナスのコーヒー淹れて。」
と足立先生が笑って、サイフォンを出した。


私がコーヒーを淹れ始めると、
足立先生はトオルくんの前に座り、

「コドモ、俺は雛子ちゃんと結婚したいと思ってるけど、
無理に結婚してもすぐにダメになるって思ってる。
だから、この間この部屋に入ったのは初めてだったし、
雛子ちゃんの熱が高かったから、ベッドルームに入ったけど、
静子さんが来たら帰ったよ。
病人を襲っても、楽しくないし、
嫌がるオンナと寝るほど俺はオンナに困ってない。
雛子ちゃんが俺を選ぶのを待ってる。って状態。
おまえは脳みそがコドモだから、
あんまりわかってないんだろうけど、
雛子ちゃんは離れてても、おまえの事だけを考えてる。
だから、つまらん嫉妬で、俺の大事な雛子ちゃんを泣かすな。」と静かな声で話した。

トオルくんは機嫌の悪い顔をしているけど、
足立先生の言葉を聞いているようだ。






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