私に恋してくれますか?
「ピーコ!!」トオルくんの声。やっぱり裏庭だ。

私は室内ばきのままで部屋を飛び出す。

「待ちなさい、どこにいく?!」と父の声に
「聞こえるでしょう。トオルさんの声。」と母の笑った声が聞こえた。


私は裏庭の柵にたどり着く。

「ピーコ。」と目の前の柵の下にトオルくんがニカッと笑って立っていた。

「兄貴と仲直り出来そうだ。
ばーちゃんが兄貴にずっと俺と一緒に働くように言ってくれていたらしい。
ばーちゃんの望みを叶えたいって、
だから、stormに戻ってこいってさっき言われた。
兄貴はついでに俺たちが抱き合っているところも見たみたいで、
俺が見合いの前にピーコを連れ出したのは、兄貴の邪魔をしたんじゃなくて、
ピーコの見合いの邪魔をしただけなんだって、
やっと信じてもらえたよ。」と笑った声で言った。

「抱き合っていたんじゃない!お前が雛子を抱きしめたんだ!」
と後ろから父の声がして、振り返ると、
みんな寒い庭に室内ばきのままで立っている。
トオルくんは

「俺はstormに戻って、また、家具を選ぶよ。
きっとしばらく海外を回らなくっちゃいけないから、
当分、会えなくなるけど…
でも、俺は雛子を愛してる。
必ずむかえに来る。
きっとだ。
必ず待ってろ。」とトオルくんは強い真っ直ぐな瞳で私を見つめた。


嬉しくて涙が溢れ出す。私は柵を掴んで、膝をつき

「待ってる。ずっと、ずっとトオルくんを待ってる。」
とトオルくんを見つめて答えた。

トオルくんはニカッと大きな笑顔を見せて、柵の間から手を入れ、私の頬をそっと撫で、

「今度来るときは、お嬢さんをくださいって言いに来ます。
失礼しました。」と父に向かって頭を深く下げて、走って家に戻って行った。





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