私に恋してくれますか?
「今のはなんだ?!」と父が部屋に戻りながら怒った声を出す。
「プロポーズでしょ。」と姉が笑う。

「俺は認めん!」と父は頭から湯気が出そうだ。

「でも、雛子はトオルさんに待っていると約束しました。」と母が笑う。

「足立先生、振られましたね」と兄は笑った声を出し、

「今回は、決定的だなあ。
僕はここのご家族が好きだったのに…。」と足立先生は残念そうな声を出す。

「先生、養子に入りたかったなら、
もうひとり娘がいるけど…。」と姉が足立先生の隣に立つ。

「皐月ちゃんって恋人がいたんじゃないの?」と足立先生。
「やーね。とっくに別れてるわよ。」と姉。
「そういうことなら、皐月ちゃんでもいいかなあ」とニッコリする足立先生。

「おまえら、見え透いた芝居は止めろ。」とクックっと笑う兄。

「なあんだバレてた?」と姉は父に笑いかける。

「何を言ってるー!!」と怒り出す父。

「これからもよろしくお願いします。」と足立先生は深々と父に頭を下げた。

「おまえは知っていたのか?」と母に父が聞いている。
「薄々気づいましたよ。」と母が笑う。


知らなかったのは父だけだったって事。かな?


でも、父は足立先生を気に入っている。
そのうち怒りも収まるだろうし…。

ありがとう
お姉ちゃん。
今の騒ぎで私の事は少し薄れた。

そう思ってお姉ちゃんを見ると、わたしに大袈裟にウインクしてみせた。





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