私に恋してくれますか?
「…逃げだすの?」と私が驚いた顔をすると、

「親の言いなりになるくらいなら、逃げればいい。
オマエの事だから、きっと上手く断り切れなかったんだろう?
ぴーこ。勇気を出せ。今すぐ、ここを出るんだ。」と私に手を差し伸べた。

「ぴーこ。来い!」とにかっと笑った顔。

私はフラフラと柵に近寄る。
グレーの猫を抱いたまま柵を乗り越える。

昔は高い柵に思えたけど、今なら乗り越えられる。

反対側に立って塀の上に立つ。
きっと塀は1メートルくらいかな。
下にいるトオルくんがもう一度微笑んで、両手を出す。
私はしゃがんで、トオルくんの片手を掴むと、思い切って、飛び降りた。

トオルくんにしっかり抱きとめられたけど、
「レオンおかえり。怖かったか?」と猫に声をかけている。

猫が先?

私がなんとも言えない顔をすると、
「ぴーこ。下界にようこそ。」と私の頭をポンと撫でる。

私が言葉を言う前に
大きな音で警報音が鳴り出した。
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