私に恋してくれますか?
「雛子、トオルはどうした!?」と父が怒っている。

「出張先から昨日、帰って来る予定だったんですが…。
飛行機に乗り遅れたみたいで…
でも、さっき成田に着いたって連絡がありましたし…」と私が言うと、

「まったく、あの男は、
自分の結婚のための集まりだというのに!」と足早に通り過ぎて応接室に入っていく。

後、30分程でお客様が到着するだろう。

「相変わらず、トオルはお父様の血圧を上げるわねえ。」
と姉が私の髪飾りを直して笑っている。

「すみません」と私が笑うと、

「雛子ちゃんも度胸が付いたね。
こんな時でも笑っていられるし。」とヒロミさんも笑っている。

私は白い繊細なレースに覆われた丈の長い柔らかいワンピースに、
耳の上にも白い大きなバラの飾りを付けた衣装に
もちろん楕円形の大きなダイヤの指輪とルピナスのピンキーリングも付けている。

後はトオルくんが来るのを待つだけだ。
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