私に恋してくれますか?
「トオルさんが裏庭からいらっしゃいました。」と笑った声で三好さんがやって来た。

「やっぱりね。警報切っといて正解だったね。」
とヒロミさんがリビングの窓を開けながら、クスクス笑う。

「トオルって玄関の場所を知らないの?」と姉も声を出して笑う。

父が大声で怒りながらリビングにやって来る。

「なんでいつも柵を乗り越えて、裏庭から入って来るんだ?!」と後ろを歩く母に言っている。

「やった!間に合ったでしょ!」
と芝生の上で靴を脱いでリビングに入ったトオルくんはニカッと笑っている。

「ピーコ、すげー綺麗。」と私に近づくのを父は遮って、

「何をやっていた!」と大声を出した。

「ピーコのドレッサーやっと見つかったよ。真っ白でシックなやつ。
今、家に入れてもらって来た。」とニカッと笑ってスマホの写真を差し出す。

なるほど。
ここ半年ほど、海外に出張に行く度に私のドレッサーを探していたんだった。と思い出す。
トオルくんのお眼鏡に叶うモノがやっとあったって事ですね。

と私はくすんと笑って立ち上がり、

トオルくんからスマホを受け取って画面を覗く。

すると、寝室に収まった可愛らしい真っ白なクラシカルなドレッサーが写っていた。

「すごくかわいい。」というと、

「だろ。ピーコにぴったりだ。」と自慢げだ。


一緒に覗いた姉が、

「これって私も欲しい。」と言うと、

「皐月ちゃんの分も一応倉庫に置いてあるよ。
結婚祝いってあげてなかったから。」とまた、ニカッと笑顔を見せる。


「トオル、やるじゃん。」と姉が私にニッコリ笑いかけた。


「ほら、お客が到着するぞ。
早く着替えろ。」とヒロミさんがトオルくんの背中を押して2階に連れて行った。



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