私に恋してくれますか?
トオルくんはタキシードに着替え、私達は腕を組む。

応接室にはinfluenceの仲間たちや、
私の友人の茜ちゃんや、観光案内所で親しくなった友人。
近い親族達30人程が集まっている。

五十嵐家の次男と日野家の末っ子の結婚披露宴は
私達の意向でこれでおしまいになっている。
友人たちとのパーティーはまた、開かれるけれど、
知らないの取引先を招待するようなものは行いたくないと言うと、
続けて結婚披露宴を行って来ていた両家も
目的は果たされているって事で、
オーケーしてもらえたのだ。

良かった。

トオルくんも私も大袈裟なことは苦手なのだ。

まあ、トオルくんが不機嫌になるのは目に見えているし、
結婚披露宴が嫌で、2人で国外逃亡。って言うことも
両親たちは少し頭をよぎっただろう。

何と言っても、
お見合い前日に逃げ出した2人だから…。


「ピーコ、俺ってすごく幸せモノだ。」とトオルくんは私の瞳を覗く。

「私も幸せです。」と言うと、

ポケットからマリッジリングの入った箱を取り出して私の指につける。

綺麗な金色の透かし模様の入ったゆるくカーブを描いた指輪だ。

トオルくんにはシンプルな金色のモノ。
少し湾曲したデザインのそれは私の指輪とピタリと重なるようにできているみたいだ。

「パーティー終わったら、婚姻届出しに行こう。」とトオルくんが微笑む。

「はい。」と私はトオルくんを見つめる。

トオルくんはニカッと笑って、私の大好きな笑顔を見せて
私を深く抱きしめてくちづけをしてから、応接室のドアを開けた。


〜fin〜








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