私に恋してくれますか?
「日野 雛子です。」とぺこんと頭を下げると、

「トオルになんか、付いてきたらダメだろ。
オンナに手が早いって知らねーの?」と メガネのひと。

「俺は子どもに興味はない。」とトオルくんの機嫌の悪い声。

…私を子供扱いですよね。ベッドで寝てたからお化粧もしてないし、髪もボサボサだ。部屋着だし。
まあ、襲われても困る。

「よろしく。雛子ちゃん、俺は左近 晃(さこん あきら)で、こっちは桜井 真一郎(さくらい しんいちろう)。
五十嵐の会社。『インフルエンス』の社員だよ。」とクマさんみたいな左近さんが笑った。


「会社?」とトオルくんの顔を見上げると、

「そ、輸入の雑貨屋をやってる。
一応、ここの事務所の社員はこの2人。と俺。
後は店スタッフがいる。」とトオルくんが言うと、

「…やっぱり、こないだの彼女はいなくなったんだ。」
とメガネの桜井さんがクマの左近さんの顔を見る。

「…だよなあ。」と左近さんはうなずいている。

なるほど、オンノコがもう1人いたのね。と思うと、

「まあ、いいじゃん。電話番、拾ってきたから。」とトオルくんは私を指さしている。

へ?…私?
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