私に恋してくれますか?
私が静子さんを玄関の外で見送って戻ると、
左近さんと、桜井さんは帰る用意をしていた。
私が「お疲れ様でした。」と声をかけると、
「みんなで飲みに行かない?雛子ちゃんの歓迎会。」と左近さんが笑いかける。
トオル君の顔をみると、頷くので、
「ありがとうございます。急いで着替えてきます。」と言って、急いで2階に上がって
柔らかい水色のセーターとスエード素材の焦げ茶色の長めのスカートを履き、
コートと黒の低いパンプスと小さなバッグを持つ、
もちろん持って来てもらったお財布も持った。

トオル君にお金を返さなきゃ。
そう思って急いで、階段を降りた。

「スカートじゃん。」とトオル君は笑い、
「さっきまで着てたのは部屋着です。」と顔をしかめると、
「雛子ちゃんて小さいけど、スタイルいいんじゃない?
よく見ると可愛いし、清楚だし、仕事はできるし、
アホなトオルにはもったいないかも」と桜井さんが笑う。

「うるせー。おまえら、ピーコに手ェ出すなよ。」
とトオル君は大げさに言って、桜井さんにじゃれついた。

私はちょっと顔が赤くなって俯く。
その言い方って恋人みたいだ。
トオル君の笑った顔にドキッとする。

トオル君は保護者。

私は自分に言い聞かせた。



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