私に恋してくれますか？

新しい出会い。

私が家出して2週間経った。

2日に1度私の仕事の終わる時間に合わせて静子さんがやってくる。
洗濯機の使い方と干し方。
アイロンのかけ方。
食器の洗い方。
掃除の仕方。
食材やスーパーの選び方。
2時間ずつ私と一緒に家事をやりながら丁寧に教えてくれる。
私は真剣に耳を傾け、メモを取っておく。
プロの静子さんの言葉は実践的で、とても役に立つ。
そう言うと、
「私の持っている知識が雛子さんのお役に立って嬉しい。」
そう言って楽しそうに笑ってくれる。

まあ、知識が増えても、急に家事の腕が上達するわけではない。
モタモタと思うようにできないところは、
1人暮らしの先輩のトオル君が助けてくれる。
案外デキル先輩なのだ。

トオル君は料理はまるでしなくて
外食ばかりだったけど、
私が野菜や魚を取り入れた夕飯は作る事が多くなったら
毎日一緒に食べるようになった。
まあ、私の作るものは
まだまだ、焦げたり、野菜が固かったり、
と失敗をすることも多い。
トオル君は笑いながら私の料理を食べたり、
一緒に食器を片付けてくれたりした。

「ピーコの料理は面白い。」
トオル君は機嫌の良い顔で、憎たらしい事を言うけど、
私の隣にいつもいる。

左近さんや、桜井さんはすっかり私達を恋人同士だと思っているし…