私に恋してくれますか?
トオル君は「ちゃんと行ってこい。」と言ってくれたので
1日休みをもらって、午前中に必要な検査を入れ、
午後に診察の予約を入れて、
1日で終わるようにして受診することになった。

いつもは運転手さんの車で行っていたので
当日は1人で電車に乗って、病院に行くっていうイベントも付いてきた。
何度もスマホで乗り換えの確認をして、トオル君に笑われるけど、
仕方ないでしょ。
ここに来てから電車や、バスに乗るようになったんだから…。

緊張して胃が痛い。
この間、母の様子を聞いてから
食欲も減って来ているし。

家出したばかりの頃は
仕事場でほとんど役に立っていなかったから、
そんなに疲れることもなかったけど、

今では、事務仕事を任せてもらえる部分も多くなって来た。
自分にできる事を先回りして考えながら、仕事をしているから、忙しくなっていし、

家事も覚えたいので、帰ってからも休んでいる暇はないかな。

「ピーコ、ほどほども覚えろ。」

と仕事をしている時も、家事をしている時も、
トオル君に言われるようになってしまった。

でも…
私は早く1人で「普通の生活」をしたいのだ。

私が頼りないから、周りは心配なのだ。

一人前になったら

お母さんも安心するかもしれない。


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