私に恋してくれますか?
朝食の席。
「どうだ。ヒナコ。決心がついたか?」父が私の顔を見る。
もう、1週間このやりとりをしている。

私は黙って首を横に振る。
「ヒナコ、写真だけでも見たらどうかしら。」と母も私の顔を見る。
「どれどれ。」と姉が笑った声で
お見合い写真と釣り書きを手にとって
「ヒナコ、案外いい男よ。」と私の顔をみるので、
「お姉様がお見合いすればいいでしょう。」と怒った声を出すと、
「それはヒナコ用なんだよ。」と兄が、写真を取り上げる。
「ふうん。そうね。ヒナコの方がお似合いかも。」というので、
「サツキもそう思うのか?」と、お父さんがお姉ちゃんを見る。
お姉ちゃんが頷くと、

「ヒナコ。来週の日曜、お見合いしなさい。
これは、決定だ。」と、お父さんが私にいって、
とうとう私はお見合いする事になってしまった。

母は嬉しそうに着て行く着物について、あれこれ私にたずねる。

「お父様、私はお見合いしたくありません。」と何度言っても、知らん顔だ。
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