私に恋してくれますか?
お母さんと一緒に来ていた静子さんと3人で再びカフェに入った。
「雛子、コーヒーでいい?」と聞かれて頷く。

お母さんは私の顔を見つめて頬を撫でる。
「雛子が元気でよかった。」と少し笑って、

「如月が結婚することになったのは聞いている?
顔合わせの時は顔を出してね。
お父様には何も聞かないように言っておくから。
あなたが家出するくらい悩んでいたって
お父様も少しだけ反省したみたい。
雛子が選んだお相手ならきっと、お父様もかんがえてくださるわ。」と微笑んだ。

お母さんやっぱり痩せたかな?
私は好きな人と家を出た訳じゃなくて、
普通の暮らしをして、
一人前の大人になりたかっただけだ。

そう、言葉にしたかったのに、うまく言葉にできない。
私は唇を噛んで涙をこらえる。

「…もう少ししたら、家に顔を出します。」と私はお母さんを見送った。

1人でも、生きていけるって思えたら。
ひとりで暮らせるようになったら。

オトナになってお父様と向き合う。
それが私の今の目標だ。






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