私に恋してくれますか?
「はい、着いたよ。」とトオル君の家に車がつけられる。

「ありがとうございました。」と車を降りると、家のドアが開いて、トオル君が顔を出す。

「ピーコ、スマホ電源入ってねーだろ!」と怒った声を出してやって来る。
「ご、ごめん。電源切ったままだった。」と言うと、足立先生はプッと笑って、
「雛子さん、ちゃんと薬を飲んで、消化の良いものを食べてね。
あと、検査の日、朝ごはんは抜いて来て。
雛子さんの友達かな。
雛子さんは少し胃が悪そうだから、ストレスかけないでね。」とトオル君に笑いかける。


「送っていただいて、ありがとうございました。
まったくピーコは手がかかる。」とトオル君は笑顔で私の頭をポンポンと叩いて、私の肩に手を回す。


「ピーコか、その呼び方可愛いね。
うーん。
君は僕をライバルだと思ってるみたいだけど、
僕なりに頑張るつもりです。
君は五十嵐君?」と足立先生のは表札を覗く。

「そうだけど、あんたは?」

「今日から主治医の足立です。
雛子さん、先に謝っておく。
電車が動いてないって言ったのは嘘だよ。」と笑ってから車を発進させた。

私は唖然とする。

「ピーコ、知らない男の車に乗っちゃダメだろ。」とトオル君はため息を吐いて、私の手を引いて歩き出す。

「まあ、あの男はピーコより何枚も上手だろうから、仕方ないけど…。
きっと俺の顔を見に来たんだろうし…。
面倒な男を釣り上げて来たな。」とブツブツ言いながら家に戻った。

…釣り上げるってどういう事?
送ってもらっただけですけど?


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