私に恋してくれますか?
足立先生が
「お互いの意見は言い合えましたか?
日野社長、私に任せてくれるといっていましたよね。」と父に微笑みかける。

「君は雛子を家に戻るように説得する。と言っていたな。」と父はじろりと足立先生を見た。

怒った父の顔はやっぱり怖い。

足立先生は気にする様子もなく、
「そうですね。この様子では、直ぐに説得できるかわかりませんが…」
と少し困った顔をする。

「君は私に嘘をついたのか!?」
と父は大声をになるけど、足立先生は落ち着いた様子で、

「いいえ。嘘を付いたつもりもありませんし、
家に帰るよう、というか…、
五十嵐の家を出るように説得しようかなと、雛子さんの気持ちを聞いて、
少し方針を変えようと、思ったところです。
状況に合わせて、他の選択肢も考えるのは、
ビジネスの世界でも、手術をするのでも同じことではないでしょうか?
社長は、あの家に雛子さんがいるのは好ましくないと思っているのですよね。
雛子さんは実家には帰りたくない。
では、1人暮らしをさせるのはどうですか?
お手伝いさんを付ければ、様子もわかるし…。
僕も、デートに誘いやすい。」と足立先生は私の顔を見てニッコリした。

「君は…とんだ策士だな。
まあいい。
あの家を出るなら、しばらく、あの男と別れなくても良いことにしよう。
水城、マンションを探してくれ。
また、連絡する。」と足立先生の顔を見て、父は薄く笑って部屋を出て行った。



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