私に恋してくれますか?
すごく疲れた私は
足立先生の「送って行く。」という言葉を断りきれずに、助手席に収まった。

足立先生に話しかけられても、
うまく返事が出来ない。

30分も経たずにトオルくんの家に着く。

「…ありがとうございました。」
車を降りると、また、トオルくんがバタンとドアを開け、

「ピーコ、スマホの電源!」と怒った声がした。

ああ、また電源を入れ忘れた…。とため息が出る。

足立先生はぷっと笑い
「五十嵐くん。こんにちは。
今日、僕は雛子さんのお義父さんに一緒に会った。
結婚したいって言っておいたし…。
一歩リードだ。
それに、雛子さんは君の家を出て、1人暮らしをしたいそうだよ。
知っている?」とにこにこ笑いかけた。

「ピーコがあんたになんて言ったか知らないけど、
ピーコは俺の恋人だ。
1人暮らしをしたとしても、それは変わらない。」
とトオルくんは機嫌の悪い顔で足立先生の顔を見る。

「なるほどー。恋人。
そうきたか。
べつに良いよ。そのうち別れてくれれば。
僕は雛子ちゃんと結婚できればそれで良いんだ。」

と足立先生はクスクス笑って、手を振り、車を発進させた。


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